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免疫システムは、病原体の侵入を監視し病原体による感染から宿主を防御し、さらに自己免疫疾患を生じ得る自己攻撃による有害反応を防止します。免疫システムにおいて、自然免疫や獲得免疫に変化が生じることで免疫不全症を発症することがあります。適正な免疫反応が継続的に消失することにより慢性炎症の易罹患性が上昇し、既に複雑極まりない免疫システムが一段と複雑化される可能性があります。

 

免疫障害と免疫不全

免疫障害は、免疫システムの構成因子における変化や調節異常であり、免疫細胞自体の問題および免疫細胞間情報伝達の問題という2種類に大別されます。これらの変化や異常が、免疫機能の活性低化(免疫不全)や過剰活性化(自己免疫)の原因となっている可能性があります。

免疫不全では、宿主が免疫反応によって感染から防御されることがありません。

原発性免疫不全症(PID)は、液性免疫と細胞性免疫の複合不全による重症複合免疫不全症(SCID)などの疾患で、免疫システムの一部における欠損あるいは障害が原因で生じます。PIDは先天性で、遺伝性欠陥遺伝子に由来する疾患です1

続発性免疫不全症(SID)は、免疫システム機能に本質的な問題はありませんが、外的要因によって誘発される免疫疾患です。一般的な原因として、免疫調整薬(グルココルチコイドなど)、栄養不良(ビタミンD欠乏症など)、および慢性感染症などが挙げられます。SIDはPIDより頻発しており、最も顕著に認められるSIDは後天性免疫不全症候群(AIDS)で、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染により発症します。

 
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免疫不全症における免疫システムの生物学的意義

殆どの免疫不全症は、免疫細胞の障害に起因します。

PIDの一種であるSCIDは、T細胞の障害が原因で生じるTリンパ球減少症で、適応免疫応答が欠失しています2。 別種のPIDである分類不能型免疫不全症(CVID)は、B細胞の機能欠失が原因で生じる疾患で、抗体が産生されません3

SIDの一種であるAIDSはHIVによる感染症で、Tリンパ球サブセットのCD4+細胞数の減少が認められます4

HIV感染で生じたCD4+T細胞枯渇による免疫不全症の発症機序/McCune, 20014

免疫不全症の診断法

免疫障害の診断は、状況に応じて出生前と出生後のいずれにおいても実施可能です。

 

出生前検査

羊水、血液、あるいは絨毛膜(将来、胎盤に分化する組織)から調製した細胞を使用する。
 

血液検査

血液検体により、免疫細胞数を計測し種類を確認。特に各種免疫細胞について欠陥の有無を調べる。
 

遺伝子検査

免疫不全の診断に実施される。ターゲットシーケンシングや全エキソームシーケンシングについては、新生児のSCID診断において特に行われる5

免疫細胞の種類を識別するためのフローサイトメトリー

フローサイトメトリーは、免疫細胞集団における疾患特異性の評価や免疫表現型の検討において一般的に使用されており、試験結果は免疫不全症の診断に有用です。

BDバイオサイエンスのフローサイトメトリー臨床ソリューションは、計測装置、解析ソフトウェア、および試料調製用のキットや試薬類で構成されています。これらの構成要素によって各研究室独自の検査法が開発され、免疫不全に関与するマーカー分子の特定に役立てられています。

さらに、BD Multitest™ 6-Color TBNK試薬とBD Trucount™ チューブ、およびBD FACSLyric™フローサイトメトリーシステムからなる臨床ソリューションは、健常者と免疫不全症が疑われる患者について、正確な細胞表現型解析による免疫学的検査を効率的且つ標準化することができ、比較評価することを可能にします。

販売名: BD FACSLyric フローサイトメーター 届出番号:07B1X00003000161

References

  1. Abraham RS and Aubert G. Flow cytometry, a versatile tool for diagnosis and monitoring of primary immunodeficiencies. Clin and Vaccine Immunol. 2016;23:254-271. doi: 10.1128/CVI.00001-16

  2. Haddad E, Logan BR, Griffith LM, et al. SCID genotype and 6-month posttransplant CD4 count predict survival and immune recovery. Blood. 2018;132(17):1737-1749. doi: 10.1182/blood-2018-03-840702

  3. Chinen J, Shearer WT. Advances in basic and clinical immunology 2010. J Allergy Clin Immunol. 2011;127(2):336-341. doi: 10.1016/j.jaci.2010.11.042

  4. McCune JM. The dynamics of CD4+ T-cell depletion in HIV disease. Nature. 2001;410:974-79. doi: 10.1038/35073648

  5. Richardson AM, Moyer AM, Hasadsri L, Abraham RS. Diagnostic tools for inborn errors of human immunity (primary immunodeficiencies and immune dysregulatory diseases). Curr Allergy and Asthma Rep. 2018;18(3):19. doi: 10.1007/s11882-018-0770-1

BD FACSLyric™ Flow Cytometers are Class I Laser Products.

The BD FACSLyric™ Flow Cytometer is for In Vitro Diagnostic Use with BD FACSuite™ Clinical Application for up to six colors. The BD FACSLyric™ Flow Cytometer is for Research Use Only with BD FACSuite™ Application for up to 12 colors. Not for use in diagnostic or therapeutic procedures.

*BD Biosciences clinical flow cytometry solutions, including instrumentation, software and reagents, offer the building blocks for laboratory-developed tests used in the identification of markers associated with immune deficiencies. These solutions are not FDA cleared or approved for the diagnosis of immune deficiencies. Analyte Specific Reagent. Analytical and performance characteristics are not established.

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